【2026年2月21日(土) レストラン マンマ・ミーア 参加者約67名】
勤勉で規則に厳格な日本人に比べて、イタリア人は陽気でいい加減に見えるのに、なぜイタリア文化は世界に大きな影響力を持つのでしょう。今回は、日本にイタリア文化を普及した功績によって勲章までもらったブランディングのスペシャリストであるティツィアナさんにその秘密を語っていただきました。
第2部ではTizianaさんに聞こうイタリアなんでもQ&Aを行いました。講座終了後に、食事とワインなどを楽しみながら「ティツィアナさんを囲む会」を行いました。
私は、イタリアのポテンツァ(松本に似た山の町)で育ち、日本の大学で禅、お茶、剣道を通じて「一期一会」の精神を学びました。私の考える最高の生き方とは、自分らしく、情熱を持って「NO」と言える強さを持つことだと思います。人間にとって最も大切なのは、愛と人とのつながり、私はこれを『Loveting(Love + Marketing)』と呼びます。
男性中心の社会で生き残り、輝くために私が実践してきた「私の考え方」は次の3つのルールです。

ビジネスでは一般的にKPI(Key Performance Indicator 業績を評価し管理するための定量的な指標、営業でいえば商談数受注率)を定量的な進捗測定に使いますが、私の定義するKPIは異なります。
K(Keep)、P(People)、I(Interested / Informed / Involved / Inspired)。何より『人(People)』が最も重要だと信じています。この信念に基づき、日本市場での輸入車シェアが少ない中、「女性」にターゲットを絞った戦略を展開しました。
日本限定車の開発、イタリアの空気感でエスプレッソを楽しめる「FIAT Caffe」のオープン、女性が輝くためのサイト「Ciao Donna」(女性の皆さんこんにちは)の立ち上げ。
日本を代表する花「桜」やルパン三世(ルパン三世が運転した車がFIAT500)とのコラボ、日本の職人と提携した「Made in Japan Project」を通じ、イタリアと日本の架け橋(Connecting)となりました。
FIATでの女性の購入比率が15%から60%へ急増し、売上を2倍に伸ばすことができました。
人生とビジネスにおいて、最も必要なのは「Loveting(愛と人とのつながり)」という考え方だと私は信じています。
塾長: なぜ日本に興味を持って日本にいらしたのでしょうか?
ティツィアーナさん: 禅に強く惹かれたこと、また映画監督エイゼンシュタインが唱えた「漢字の構造と映画のモンタージュ手法の共通性」に興味を持ったからです 。幼少期、髪型のせいで「日本人みたい」と言われていた刷り込みも影響しているかもしれません 。
塾長: 来日時に文化的な違和感はありましたか?
最も感じたのは「男性社会」と「女性社会」の明確な区別です。イタリアでは男性が育児を担うのは当然ですが、当時の日本は違いました。また、ストレートに反応するイタリア人に対し、日本人は一度心に留めてから考えるという違いも感じました。
塾長: ものづくりの考え方の違いはどうでしょうか?日本は機能性を重視しますが。
イタリアのデザイナーにとって、最優先なのは「デザイン」そのものです。女性向けであっても荷室の広さなどは最優先されません。
塾長: イタリアではマニュアル車が多い点については?
FIATやABARTHのお客様は、効率ではなく「運転そのものを楽しむ」という遊び心を大切にしているからこそ、マニュアル車を好むのだと思います。
Aさん: 政治的な類似点はありますか?
イタリアでの女性首相誕生は前進ですが
、内容がリベラルでない点は懸念しています。ところで、日本ではなぜ政治的議論を避けるのでしょうか?
塾長: 和を乱さないために論争を避けてきた、日本の「村社会」的な歴史が影響しているのかもしれません。
塾長: 家族観について、日本は「家父長制」、イタリアは「母親中心」という違いはありますか?
日本でもお母さんは最も大切な存在だと思います。もともと神は女性であり、女性は子供と平和を愛する存在だからです。
Bさん: 日伊の職人の違いは何でしょうか?
共通点は「情熱」です。違いは、日本の職人が一つの道を極める「特化型」であるのに対し、イタリアの職人は複数の分野を柔軟に掛け持ちする点にあります。
Cさん: イタリア人の気質についてお聞きしたいと思います。以前ローマでフォスコ・マライーニさんを訪問した際に、貴重なフィルムが紛失するトラブルに困惑する私を、彼は「Furbo(フルボ)」と笑い飛ばしました 。これはどのような意図でしょうか?
「Furbo」は“賢い”“ずる賢い”という意味ですが、そのリアクションは、イタリア人気質というよりも、禅のお坊さんの考えだと思います。
Dさん: 仕事で反対意見があった時、どのようにアイデアを通してきましたか?
常に「その仕事にどのような価値があるのか」という本質的な意義を説明し、納得を得ることで進めてきました。
Eさん: デザイナーが建築を学ぶのは本当ですか?また、ご自身にギリシャ的なルーツを感じますか?
イタリアでは建築を学んだ後に各デザイン分野へ進むのが一般的です。私自身は、名字の由来からギリシャよりもアラブのルーツを感じることがあります。
Fさん: 大人になっても「子供の部分」が仕事に活きたことはありますか?
常に「遊び心」を持って向き合うことです。子供のような自由な発想を、仕事でも活かしてきました。
今の高校生が「自由で素敵な大人」になるために必要な体験とは?
既存のシステムにただ服従するのではなく、社会やジェンダーについて自ら考え、議論する経験を持つことです。

ティツィアーナさん:男女平等な社会を作り、女性の発言力を高める活動が大切です。最も重要なのは、お互いの「愛」を大切にすることです。
塾長:私たちの内側に「権力に抵抗する力」を持つこと。心の中の子供の部分を大切に、自由に発言していくことが大切だと思います。
(記録:川村)