【2016年7月17日(土)9:00~12:00 千曲市の開眼寺】
参加者:16名
今回の講師で開眼寺のご住職でいらっしゃる柴田文啓さんは企業マンとして第一線で活躍された経歴をお持ちの異色の僧侶です。
初めに柴田さんからご自身の経歴、僧侶になる決心をされた経緯についてお話がありました。
愛知県豊橋市で経験した空襲の惨状が原体験として強く脳裏に焼き付いているとのこと。第二の人生は僧侶として世の中の役に立ちたいとの強い思いを語っていただきました。
その後、早速坐禅の基本についてスライドを使って説明がありました。坐禅の”坐”の字の中には人が2つ。1つは煩悩の心、もう1つは仏の心。この2つが人間にはあって、どちらも大切とのこと。坐禅は初めてという参加者が多かったこともあり、足の組み方(半跏趺坐)や手の組み方、目線の送り方、呼吸の仕方まで丁寧に教わりました。
少しの脱力タイムの後、直ぐに後半の15分が開始。後半は希望者は柴田さんから警策を受けました。叩かれる時は思いの外大きな音がするので気後れしてしまうのですが、想像したほどは痛くないというのが個人的な感想です。
久々に静かに心を落ち着けて過ごす時間は日常にはない新鮮な経験でした。事前のレクチャー通り、坐禅中は雑念が次から次へと現れてくるのですが、それを無理に押さえつけるのではなく受け流すのが良いようです。
①隠徳(他人に分からないところでの徳行)を積むことが大事。鍵山秀三郎(イエローハット創業者)は素手でのトイレ掃除を陰で続け、結果的に会社は隆盛した。アメリカはNPOが発達していることが強みであり、日本にも同様の文化が根付いてほしい。その点で僧侶が果たすべき役割は大きい。
②葬式法事で忙しい僧侶も多いが、僧侶の本分は読経、坐禅、作務であることを忘れてはいけない。
③20世紀を牽引してきたのは論理的、合理的なキリスト教的思考。21世紀は美しい地球を後世に残すことが大事であり、そのために仏教が果たすべき役割は大きい。日本国内には寺が約75,000あり、コンビニエンスストアより多いが、その内3割は無住職の寺。第二の人生を住職として勤める意欲のある人は是非門を叩いて欲しい。
座禅体験ももちろんとても良い経験になったのですが、講座を通して強く感じたのは柴田さんの”人に対する温かな眼差し”です。柴田さんは今を生きる私たち、そして後世の人々が豊かで平穏な人生を送れることを願い、またそれを行動に移されている方です。振り返って自分には何が出来るのかと考えさせられる時間でもありました。柴田さん、お忙しいところ本当に有難うございました。