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〈レポート〉第23回講座-小旅行C.W.ニコルさんのアファンの森&黒姫童話館「自然の中で遊ぼう、学ぼう」

2015.11.15 | カテゴリー:講座の記録

【2015年8月23日(日) 上水内郡信濃町黒姫高原】

北信で初めての講座は、黒姫高原へのバスツアーになりました。C.W.ニコルさんの「アファンの森」と、黒姫童話館の敷地に移築された、「いわさきちひろ黒姫山荘」を訪ねました。

午前は、通常一般には公開されていない「アファンの森」を、所長の福地さんから説明を受けながら散策。午後は塾長・松本猛の案内で、「ちひろ山荘」の非公開部分も見せてもらい、いずれも貴重な体験になりました。
さわやかな高原で過ごす一日に、会員さんを中心に22名が参加しました。

アファンの森

「アファンの森」では、C.W.ニコルさんの著書の写真を手掛けておられる、写真家の南健二さんがお出迎えというサプライズから始まりました。
アファンセンターでは、約30年前、荒廃していく日本の森に危機感を覚え、私財を投じて少しずつ土地を買い足し、森の手入れを続けてきたニコルさんの思い、アファンの森の成り立ち、今日に至る活動の歴史などの説明を受けました。

館内展示の、隣接する国有林の荒れた杉林との境界がくっきりと分かる航空写真を見た時に、30haを越える広い森が再生していることが実感できました。森の再生だけでなく、森の生態系の調査や、自然がもたらす人間の心の再生、など活動の紹介もありました。2012年には、隣接する国有林(約27ha)を整備する協定を林野庁と結び、切り出した間伐材を馬で運び出す“馬搬”や、間伐材での家具の製作など、森と経済の循環など新しい試みを模索中とのこと。幅広い分野で活動し、多くの人が関わっていることを知りました。

森の中は、“森林浴”という言葉がぴったりする、心地の好いエネルギーが満ちていました。国有林との境に来た時に、生きている森と、死を連想するような杉林の対比を目の当たりにして、“場”が人の心に与える影響を実感しました。「一度人が手を入れた森は、手を入れ続けなければ荒廃してしまう」という信念で活動を続け、確実に自然に返している30年の歩みを、森の姿から見ることができました。

いわさきちひろ黒姫山荘

「いわさきちひろ黒姫山荘」は、ちひろの水彩画を思わせる、柔らかな雰囲気の佇まいでした。
息子・松本猛さんの子ども時代の思い出話を聞きながら、実際に使っていた台所や薪ストーブ、仕事部屋を見ていると、そこに暮らす一人の女性・母・作家としての “いわさきちひろ”の息遣いやぬくもりを感じる思いがしました。
五角形の浴槽と脱衣場との堺につけた窓で、狭いお風呂を感じさせない工夫は、現在でも斬新なデザイン。さすが芸術家と感心しました。

黒姫に文化人が集まる場所を作ろうと、当時の町長、松木さんから声をかけられたけれど、当時としても格安な100円/坪という土地の値段に、詐欺ではないかと疑った逸話や、野尻湖を見下ろすイメージで建てた山荘だったのに、周囲の木々が成長してまい、湖を眺めながらの創作活動は叶わなかったことなど、当事者しか知らないエピソードも聞くことができました。

「黒姫童話館」は、『ネバーエンディング・ストーリー』、『モモ』などで有名なドイツのミヒャエル・エンデと、『モモちゃんとアカネちゃん』などを書いた、信州にゆかりの深い谷みよ子さんを中心に多くの展示を行っており、お菓子の家や、山の名前になった『黒姫さま』伝説などの民話のスライドショーもあって、子供だけでなく大人も十分楽しめる施設でした。

お昼は、ほぼ信濃町産の食材を使った“地産地消と六次産業”を実践している「かあちゃんち」のお弁当を野尻湖畔で。アファンの森の道中に、そびえるほど山と積まれた、とうもろこしの直売所を見かけ、帰りの道の駅で買い求めるつもりが、既に売り切れ…という、ちょっぴり残念なハプニングもありましたが、時間を忘れてゆったりと過ごした一日でした。


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