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〈レポート〉第12回講座-牛伏寺寺子屋第1回「寺子屋談義 寺とは何ぞや、寺子屋とはなんぞや」

2013.09.11 | カテゴリー:講座の記録

信州自遊塾運営委員で牛伏寺の副住職の大谷宥秀さんが、「牛伏寺に寺という枠を超えて人々が集い、学び・楽しみ・感じ考えるようないろいろな企画を年2回のペースで継続してやっていきたい」という想いで発案し、新たにスタートした寺子屋講座の第1回目です。

INDEX

そうめん流し昼食交流会

標高1000mの高地であっても汗ばむような晴天の下、手入れの行き届いた牛伏寺裏庭で、前日に切り出してご準備いただいた竹を使っての流しそうめんを行いました。参加した総勢13人はそれぞれ天ぷらを揚げたり、交代でそうめんを流したり、お寺で用意してくださったお料理もいっしょにお腹いっぱい食べ、ワイワイと楽しいひと時を過ごしました。日陰では心地のいい風が吹いていました。

写経・護摩祈祷(体験)

中庭に面した部屋で、大谷副住職から写経心得など伺った後、般若心経の手本を一文字一文字丁寧になぞっていく時間。蝉しぐれだけが聞こえる静寂のなか、写経に集中するひと時に心も鎮まりました。最後にそれぞれの願い事を書き入れて奉納させていただきました。

祈祷殿である観音堂に場所を移し、大谷副住職に護摩祈祷をしていただきました。薄暗い堂内に響く読経と仏具の奏でる音。間近で見る、立ち上る炎と煙の迫力。講座の参加者だけで行われた写経と護摩祈祷は普段ではなかなかできないとても贅沢な体験となりました。

第1回寺子屋談義

この部から新たに3人が加わり、写経を行った部屋で16人が机を囲みました。大谷運営委員・松本塾長・八戒事務局長による「寺とは何ぞや、寺子屋とは何ぞや」をテーマに今後の寺子屋の方向性について語り合う座談会が始まるはずでした。(別枠として八戒事務局長の俳句と大谷さんの短歌が披露される予定もありましたが)

スタートで事務局長が一句披露し語りだしたことをきっかけに、話は当初の座談会の目的と離れてしまい、そのまま参加者を巻き込みながら、短歌の解釈・縄文時代・TPPなど話題は迷走を続けてしまいました。事務局から「テーマがずれている」という指摘が入りましたが、時すでに遅く、時間的にも内容的にも着地点を見いだせないまま第1回寺子屋談義は終了することとなりました。

趣味の俳人 峯岸八戒の一句

「天敵は 敵にあらずや 山毛欅(ブナ)若葉」
自然界にあってオオカミが鹿を狩る。鹿にとってオオカミは天敵だが、オオカミがいなくなれば鹿は増えすぎてバランスが崩れてしまう。自分にとって天敵と思える人間でも必要だからそこに存在している・・・。その想いを読んだと語る。

趣味の歌人 大谷宥秀が 高野公彦の歌『河骨川』を語る

「にんげんに 害ありとして 鶏を殺す 殺しやすくて 数百万ころす」
「殺されし 鶏のまぶたの 薄まぶた 最後に見けむ マスクの人を」
鶏インフルエンザでたくさんの鶏が殺された。<殺処分>という言葉で正当化するその行為に対する歌人の心情に感銘を受けた気持ち語る。

(抜粋)

奥殿の見学

大谷さんのご好意で、重要文化財の秘仏、十一面観音が安置されている奥殿を見せていただきました。33年に一度のご開帳は次回平成29年とのことで、秘仏が収められた厨子はかたく閉じられていましたが、文化財である菩薩像・如来像・ほか数多くの木像が並ぶ宝物殿内を見学することができました。

参加者の感想

 暑い多忙な日々の生活の中でちょっと標高の高い所に足を踏み入れれば、こんなにも涼しく又すがすがしく、心が落ち着く生活がある・・・と言う事に感激を覚えました。初めて訪れた寺院だけに一入でした。写経は本当に心が落ち着き参加者の息づかいが静寂の中に伝わり又護摩焚きの炎を見ながら、今自分が念じた事が天まで通じるのか・・・願いはかなうのか?諸々の雑念にとらわれ人間修業のタラなさを痛感しました。もっと、もっと住職さんのお話を聴きたかったです。(短歌の話もいいけれど)おいしい水、果物、手料理等本当にご馳走様でした。お礼申し上げます。

70代女性 Mさん

今回、牛伏寺には初めて伺いましたが、大自然の中のお寺に足を踏み入れた瞬間、心が癒された思いがいたしました。それと同時に昔訪ねたことのある鎌倉の長谷寺が頭をよぎりました。そのような思いでいただいた「流しそうめんと天麩羅」のお味は格別でした。あれほどまで長い竹に流れてくるそうめんを掬ったのは初めてです。ご準備いただいたご住職をはじめ、熱い中天麩羅を作っていただいた事務局の方々には感謝しております。写経と護摩祈祷は感動的でした。パソコンの普及で手でものを書く機会が少なくなりましたので、あれほど集中し心が鎮まる写経の時間は貴重な体験でした。間近で見る護摩祈祷は圧巻の一言です。最後の「寺とはなんぞや、寺子屋とはなんぞや」談義は、主旨が明確ではなかったように思われました。内容が少し分かり辛かったです。次回は、「開かれたお寺にしていくために」のようなテーマで対談していただければ楽しくお話を聞く事が出来そうです。

30代男性 Hさん

第1回寺子屋講座を終えて

第一回の寺子屋講座では、五感を通してお寺を体験していただければと考え、孟宗竹をつかっての流しそうめんや、静寂の中で筆の柔らかさを感じながらの写経、さらに1000年以上、今日まで続く護摩祈祷を行いました。

「寺とはなんぞや、寺子屋とは何ぞや」という談義については脱線もありましたが、今後の講座の中でも常に問い続け、さらに有意義な講座にしていきたいと思います。

第二回目の講座にむけて現在準備中ですが、また多くのご参加をお待ちしております。
有難うございました。

大谷宥秀

事務局後日談

寺子屋講座1回目は、会員同士の交流が深まり、写経・護摩祈祷などの貴重な体験ができたりと、満足度の高い講座となったのではないか。しかし、寺子屋談義ではテーマを語ることなく終えてしまったことは残念であった。大谷副住職との連携や意識の共有が不十分だった結果が現れてしまった。今後、継続して寺子屋講座を進めていく上での課題が明確になったと捉えて、より良くしていくための改善策などを話し合った。


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